勝たずに終わらせること。
揉め事が起きたとき、
契約書を出して、
条文を示して、
理詰めで詰める。
こっちが正しければ、たぶん勝てます。
でも、それで仕事が終わるとは限らない。
なぜなら相手はもう、
理屈ではなく、感情に固執していることがあるから。
そんな相手に正論を重ねても、
逃げ道がなくなるだけ。
逃げ道を塞がれたヒトは、
正しい方へ進むとは限りません。
むしろ、
間違っていると分かっていても、引けなくなる。
だから僕は、
勝てる材料を全部持っていても、使わないことがあります。
契約書も出さない。
書面も出さない。
論破もしない。
その代わり、
落とし所という「出口」をつくる。
ここなら双方が納得できる。
ここからなら相手も引き返せる。
そして何より、
相手の面子を潰さずに済む。
出口を用意したら、
そこへ少しずつ誘導していく。
「あなたが間違っていましたね。」
なんて確認する必要もない。
目的は、
どちらが正しかったかを確定することではなく、問題を終わらせることだから。
論破できるのに、論破しない。
契約書を盾にできるのに、盾にしない。
たぶん交渉で難しいのは、
相手を追い詰めることじゃない。
相手が自分で歩いて出られる出口を、こちらが先につくっておくこと。
勝ち負けなんて、どうでもいい。
**ちゃんと終われば、いい。
