#050

失敗した。でも、いまだにイケると思っている。

2026秋 | THOUGHT

僕は商売を山ほど外している。

最近で、
なかなか見事に外したのが、
「ミステリアスインディア 香辛芸術」
という、
たった7席ほどの小さなカレー屋だ。

南インド料理に、
かなりインスパイアされたカレーの店。
もともと寿司屋だった、
小さな区画が空いた。

次は鰻屋をやりたい。
でも、
肝心の鰻職人が見つからない。
店を空けたままにしておくのも、
もったいない。

じゃあ、
カレー屋やってみよう。
そんなところから始まった。

店は、
結構格好良くできたと思う。
コンセプトも、
今でも悪くないと思っている。
そして何より、
カレーが旨かった。

これは、
負け惜しみではない。
(笑)
今でも、
普通に食べたい。

でも、
商売としては、
駄目だった。

何が駄目だったのか。
立地。
認知。
客数。
運営。
いろいろあったと思う。

一つに決めつける気はない。
ただ、
全部がうまくハマらなかった。
商売には、
そういうことがある。

そして、
もう一つ。
運営していたのが、
松阪苑の店長だった。

本人は、
かなり一生懸命カレーを研究していた。
でも、
松阪苑の店長という仕事は、
片手間でできる仕事ではない。

カレー屋だって、
同じだ。

どちらも、
ちゃんとやろうと思ったら、
片手間ではできない。

この体制は、
やっぱり良くなかったと思っている。

だから、
撤退した。

ところが、
面白いことに、
僕は今でも、
この業態そのものには、かなり自信がある。
(笑)

もっと歩行者の多い街。
首都圏でもいい。
駅の近くでもいい。

小さな物件に、
カウンターだけ。
7席でも、
10席でもいい。

そこで、
腰を据えて、
一人の店主が、
ちゃんと商う。

これなら、
結構いけるんじゃないかと、
いまだに思っている。

失敗した本人が、
まだ言っている。
(笑)

でも、
商売の失敗って、
必ずしも、
商品が駄目だったということではない。

商品。
場所。
人。
価格。
タイミング。
運営。

全部が噛み合って、初めて商売になる。
一つ外れただけでも、
想像以上に難しくなる。

ミステリアスインディアは、
僕にとって、
それを随分教えてくれた店だった。

そして、
ここからが、
ちょっと変な話なのだけれど。

誰か、やりませんか?
(笑)

本店は、
もうありません。
でも、
レシピも、
店づくりの考え方も、
僕らが試したことも、
失敗したことも残っている。

失敗した理由まで含めて、
全部渡せる。

だから、
もし、
「この小さなカレー屋、
自分ならやれる。」
という人がいたら、
僕は結構本気で、
話をしてみたい。

本店なき、分店。
そんな暖簾分けがあっても、
面白いじゃないか。

一度外した商売を、
別の誰かが、
別の街で当てる。

それができたら、
僕としては、
失敗した甲斐まである。

ミステリアスインディア 香辛芸術。
撤退済み。
でも、
僕の中では、
まだ廃業していない。

いまだに、イケると思っている。
失敗したくせに。
(笑)

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。