管理することと、その人を番号として見ることは違う。
飲食店では、
「3番さん、お料理出ました?」
「5番さん、お会計です。」
という言葉が普通に飛び交います。
分かる。
僕も飲食店をやっているから、
ものすごくよく分かる。
席番号で共有するのが一番早い。
うちの店でも普通に使っています。
でも、
お客様として「何番さん」と呼ばれると、
僕はちょっと切ない。
番号で管理することと、
その人を番号として見ることは違うと思うからです。
3番さんにも、名前がある。
大切な人との食事かもしれない。
久しぶりの外食かもしれない。
一人で静かに食事をしたくて、
来てくれたのかもしれない。
僕たちにとっては、
今日何組目かのお客様でも、
その人にとって、今日の食事は一回しかない。
だから、
少しずつ番号が外れていく店にしたい。
一度来てくれた。
また来てくれた。
顔を覚える。
そのうち名前を覚える。
好きなものが分かる。
苦手なものが分かる。
そうなったら、
もう「いつもの何番さん」ではない。
その人になる。
もちろん、
全員の名前を覚えろなんて無茶は言いません。
僕だって無理です。
でも、
番号しか見ていない人と、
番号の向こうに人がいると思っている人では、
サービスは少し変わる。
料理を説明した方がいい人。
そっとしておいた方がいい人。
話しかけると喜ぶ人。
急いでいる人。
そういうものは、
マニュアルだけでは拾えません。
だから僕は、
「いらっしゃいませ」だけより、
「こんにちは」
「こんばんは」
が好きです。
人と人が会ったのだから、
まず挨拶をする。
帰る時だって、
「お気をつけて」
「また」
「おやすみなさい」
その人と、その時に合った言葉があればいい。
番号は、席につける。
人には、つけない。
