#034

「何番さん」と呼ばれると、ちょっと切ない。

2026秋 | EPISODE

管理することと、その人を番号として見ることは違う。

管理することと、その人を番号として見ることは違う。

飲食店では、

「3番さん、お料理出ました?」
「5番さん、お会計です。」

という言葉が普通に飛び交います。

分かる。

僕も飲食店をやっているから、
ものすごくよく分かる。

席番号で共有するのが一番早い。

うちの店でも普通に使っています。

でも、

お客様として「何番さん」と呼ばれると、
僕はちょっと切ない。

番号で管理することと、
その人を番号として見ることは違うと思うからです。

3番さんにも、名前がある。

大切な人との食事かもしれない。

久しぶりの外食かもしれない。

一人で静かに食事をしたくて、
来てくれたのかもしれない。

僕たちにとっては、
今日何組目かのお客様でも、

その人にとって、今日の食事は一回しかない。

だから、

少しずつ番号が外れていく店にしたい。

一度来てくれた。

また来てくれた。

顔を覚える。

そのうち名前を覚える。

好きなものが分かる。

苦手なものが分かる。

そうなったら、

もう「いつもの何番さん」ではない。

その人になる。

もちろん、
全員の名前を覚えろなんて無茶は言いません。

僕だって無理です。

でも、

番号しか見ていない人と、
番号の向こうに人がいると思っている人では、

サービスは少し変わる。

料理を説明した方がいい人。

そっとしておいた方がいい人。

話しかけると喜ぶ人。

急いでいる人。

そういうものは、
マニュアルだけでは拾えません。

だから僕は、

「いらっしゃいませ」だけより、

「こんにちは」
「こんばんは」

が好きです。

人と人が会ったのだから、
まず挨拶をする。

帰る時だって、

「お気をつけて」
「また」
「おやすみなさい」

その人と、その時に合った言葉があればいい。

番号は、席につける。
人には、つけない。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。