#020

うまくいかなかった時のことを、先に考える。

2026夏 | THOUGHT

僕自身は、新しいことを始める時、

かなり楽観的だ。

できると思っているからやる。

でも同時に、

うまくいかなかったら、どうする?

をかなり考える。

悲観的だからではない。

始めてしまった後で、

「そんなはずじゃなかった」

と言いたくないからだ。

——

僕は基本的に、

新しい事業については、

かなりポジティブに考える。

いい土地を見る。

面白い建物を見る。

新しい事業の相談を受ける。

誰かから、

「こんなことできませんか」

と言われる。

すると、

できない理由より、

どうやったらできるかを先に考える。

たぶん、これは昔から変わらない。

これをやろう。

あれもできる。

ここまでやった方がいい。

もっと良くできる。

僕の頭の中では、

どんどん先まで進んでいく。

でも、

その裏側では、

かなり違うことも考えている。

もし、売れなかったら?

もし、人が集まらなかったら?

もし、僕の読みが外れたら?

新しい事業を考える時、

この二人が僕の頭の中に同時にいる。

一人は、

「絶対できるだろう」

と言っている。

もう一人は、

「で、ダメだったらどうする?」

と言っている。

どちらも僕だ。

商売をしていれば、

想定外なんていくらでも起きる。

だから、

自分の予測が間違っている可能性を、

最初から入れておく。

僕は自分の事業について、

基本的には自信を持っている。

自信がなければ、

自分のお金も時間も使えない。

でも、

自信があることと、

自分が絶対に正しいと思うことは違う。

僕だって、

読みを外す。

普通に間違える。

だったら、

間違えない経営者になろうとするより、

間違えても致命傷にならないようにしておく。

その方が現実的だと思っている。

例えば建築。

僕は建築もインテリアも大好きだから、

放っておけば、

いくらでもやりたくなる。

いい石を使いたい。

いい木を使いたい。

家具も妥協したくない。

照明も気になる。

でも、

事業として建築する以上、

好きだから全部やる、

では済まない。

その一千万円を追加したら、

商品価値はいくら上がるのか。

客単価は変わるのか。

稼働率に効くのか。

競争力になるのか。

それとも、

単に僕が気持ちいいだけなのか。

そこは分けなければならない。

全部安くするのではない。

全部豪華にするのでもない。

勝つために必要なところへ、

お金を使う。

そして、

何か起きた時に動ける余力を残しておく。

僕は、

「ダメなら撤退すればいいじゃない」

と簡単に言うのも好きではない。

撤退にも、

お金がかかるからだ。

事業は、

始める時より、

やめる時の方が難しいことさえある。

だから、

ダメならやめる。

だけではなく、

ダメだった時に、

何を変えられるか。

そこまで最初に考えておく。

値段を変えられるか。

売り方を変えられるか。

運営方法を変えられるか。

規模を変えられるか。

途中で形を変えられる余地を、

残しておきたい。

僕は、

最初から完璧な事業計画をつくろうとは思っていない。

そんなもの、

たぶん存在しない。

僕がつくりたいのは、

間違えた時に修正できる事業計画だ。

成功すると思っている。

でも、

外れるかもしれないとも思っている。

その時、

次の手は何なのか。

そこまで考えている経営者の方が、

僕なら信用する。

リスクを語ることは、

弱気ではない。

リスクを知らないことの方が怖い。

僕は、

新しいことをやる時、

成功するつもりで始める。

これは絶対だ。

最初から失敗すると思って、

事業を始めることなんてない。

始めた事業には責任を持つ。

だから、

うまくいく時だけではなく、

うまくいかなかった時まで考える。

それが、

プロとして事業を始めるということだと思っている。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。