若いうちから独立資金を貯めることばかり考えなくていい。
それより良い店で食べて、良い宿に泊まって、旅をしてほしい。
僕は、その人が何を経験してきたかの方を見たい。
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いつか独立したい。
自分の店を持ちたい。
そういう人に、
「だったらまず金を貯めろ」
というのは、ものすごく正しい。
自己資金は大切だ。
店をつくれば想像以上にお金がかかるし、開業後の運転資金も必要になる。
それは分かっている。
でも僕なら、若い人にはもう一つ言いたい。
金を貯めるより、経験を貯めろ。
外食をしてほしい。
どうせなら、良い店へ行ってほしい。
一万円の料理を食べたことがない人に、一万円の料理を出す店をつくるのは難しい。
三万円の店が、なぜ三万円なのか。
料理なのか。
器なのか。
サービスなのか。
空間なのか。
予約した瞬間から始まる体験なのか。
自分でお金を払ってみないと分からないことがある。
旅もしてほしい。
どうせなら、たまには良い宿にも泊まってほしい。
高いところへ行け、という意味ではない。
自分がまだ知らない「良いもの」を体験してほしい。
建築を見る。
その土地の料理を食べる。
知らない街を歩く。
知らない人と話す。
いつもと違う景色を見る。
それらは全部、その人の中に残る。
店をつくる時、最後に出てくるものは、その人が今まで何を見て、何を食べて、何を感じてきたかだと思う。
もちろん、全部使ってしまえという話ではない。
生活を壊してまで遊べとも思わない。
でも、
貯金だけを人生の投資だと思わないでほしい。
経験に使ったお金だって、自分の中に残る。
だから僕は、その人が独立を考えた時、預金通帳の数字だけを見たくない。
どんな店で働いたのか。
どんな店で食べたのか。
どんな場所へ行ったのか。
どんな人に会ったのか。
何に感動したのか。
何を格好いいと思ってきたのか。
僕が見たいのは、
その人の中に、何が貯まっているかだ。
