#07

金を貯めるより、経験を貯めろ。

2025冬 | MESSAGE

若いうちから独立資金を貯めることばかり考えなくていい。

それより良い店で食べて、良い宿に泊まって、旅をしてほしい。

僕は、その人が何を経験してきたかの方を見たい。

——

いつか独立したい。

自分の店を持ちたい。

そういう人に、

「だったらまず金を貯めろ」

というのは、ものすごく正しい。

自己資金は大切だ。

店をつくれば想像以上にお金がかかるし、開業後の運転資金も必要になる。

それは分かっている。

でも僕なら、若い人にはもう一つ言いたい。

金を貯めるより、経験を貯めろ。

外食をしてほしい。

どうせなら、良い店へ行ってほしい。

一万円の料理を食べたことがない人に、一万円の料理を出す店をつくるのは難しい。

三万円の店が、なぜ三万円なのか。

料理なのか。

器なのか。

サービスなのか。

空間なのか。

予約した瞬間から始まる体験なのか。

自分でお金を払ってみないと分からないことがある。

旅もしてほしい。

どうせなら、たまには良い宿にも泊まってほしい。

高いところへ行け、という意味ではない。

自分がまだ知らない「良いもの」を体験してほしい。

建築を見る。

その土地の料理を食べる。

知らない街を歩く。

知らない人と話す。

いつもと違う景色を見る。

それらは全部、その人の中に残る。

店をつくる時、最後に出てくるものは、その人が今まで何を見て、何を食べて、何を感じてきたかだと思う。

もちろん、全部使ってしまえという話ではない。

生活を壊してまで遊べとも思わない。

でも、

貯金だけを人生の投資だと思わないでほしい。

経験に使ったお金だって、自分の中に残る。

だから僕は、その人が独立を考えた時、預金通帳の数字だけを見たくない。

どんな店で働いたのか。

どんな店で食べたのか。

どんな場所へ行ったのか。

どんな人に会ったのか。

何に感動したのか。

何を格好いいと思ってきたのか。

僕が見たいのは、

その人の中に、何が貯まっているかだ。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。