#08

お金がないから、店主になれない。それも違うと思う。

2025冬 | THOUGHT

店をやる力があることと、数千万円の資金を持っていることは、まったく別の能力だ。

でも飲食店の独立では、なぜかその二つを同じ人間に求める。

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良い料理人であること。

良い店長であること。

人をまとめられること。

お客様を見られること。

数字を理解できること。

良い経営者になれること。

そして、

千万円単位のお金を持っていること。

これは、まったく別の能力だと思う。

でも飲食店で独立しようとすると、なぜかこの二つを同じ人間に求める。

自分でお金を貯める。

銀行から借りる。

自分で店をつくる。

もちろん、それができるなら一番分かりやすい。

ただ、僕は金融の現実もそれなりに見てきた。

銀行がお金を貸す時には、当然リスクを見る。

自己資金を見る。

実績を見る。

返済できるかを見る。

担保や保証を見ることもある。

銀行が慎重になるのは当たり前だ。

預かったお金を貸しているのだから。

でも、その仕組みだけでは拾いきれない人がいる。

まだ大きなお金は持っていないけれど、店をやる力のある人だ。

では、投資銀行やベンチャーキャピタルへ行けばいいか。

街の一軒の飲食店を出すために必要な数千万円のリスクを、彼らが一件ずつ引き受けてくれるかといえば、普通はそういう世界ではない。

求めている投資規模も、成長性も違う。

つまり、

数千万円あれば店を持てる。

でも、その数千万円を出してくれる場所がない。

そんな谷間がある。

僕は、そこに店主になれる人が埋もれている気がしている。

だから暖簾分けでは、

資金がないという理由だけで、その人を候補から外したくない。

その人に本当に店を任せられるのなら、お金については別の方法を考えてもいい。

店をやる才能と、出店するための資金。

この二つを、一度切り離して考えてみる。

そうすると、もう一つの暖簾分けの形が見えてくる。

リスクをとらない金融機関への、ささやかなアンチテーゼとも言える。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。