店をやる力があることと、数千万円の資金を持っていることは、まったく別の能力だ。
でも飲食店の独立では、なぜかその二つを同じ人間に求める。
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良い料理人であること。
良い店長であること。
人をまとめられること。
お客様を見られること。
数字を理解できること。
良い経営者になれること。
そして、
千万円単位のお金を持っていること。
これは、まったく別の能力だと思う。
でも飲食店で独立しようとすると、なぜかこの二つを同じ人間に求める。
自分でお金を貯める。
銀行から借りる。
自分で店をつくる。
もちろん、それができるなら一番分かりやすい。
ただ、僕は金融の現実もそれなりに見てきた。
銀行がお金を貸す時には、当然リスクを見る。
自己資金を見る。
実績を見る。
返済できるかを見る。
担保や保証を見ることもある。
銀行が慎重になるのは当たり前だ。
預かったお金を貸しているのだから。
でも、その仕組みだけでは拾いきれない人がいる。
まだ大きなお金は持っていないけれど、店をやる力のある人だ。
では、投資銀行やベンチャーキャピタルへ行けばいいか。
街の一軒の飲食店を出すために必要な数千万円のリスクを、彼らが一件ずつ引き受けてくれるかといえば、普通はそういう世界ではない。
求めている投資規模も、成長性も違う。
つまり、
数千万円あれば店を持てる。
でも、その数千万円を出してくれる場所がない。
そんな谷間がある。
僕は、そこに店主になれる人が埋もれている気がしている。
だから暖簾分けでは、
資金がないという理由だけで、その人を候補から外したくない。
その人に本当に店を任せられるのなら、お金については別の方法を考えてもいい。
店をやる才能と、出店するための資金。
この二つを、一度切り離して考えてみる。
そうすると、もう一つの暖簾分けの形が見えてくる。
リスクをとらない金融機関への、ささやかなアンチテーゼとも言える。
