和食、イタリアン、松阪牛、うなぎ、焼肉。
一見すると、ずいぶんバラバラな会社に見える。
でも僕の中では、全部ひとつの同じ理由から始まっている。
うまいものが食べたい。
——
うちの会社には、五つの飲食店がある。
和食。
イタリアン。
松阪牛。
うなぎ。
焼肉。
「何屋の会社なんですか」
と聞かれたら、確かに説明しづらい。
でも、僕の中では別にバラバラではない。
昔から、ものすごく太い一本の軸がある。
うまいものが食べたい。
うまい魚が食べたい。
うまい肉が食べたい。
うまい鰻が食べたい。
うまいナポリピッツァが食べたい。
だったら、そういう店をつくればいい。
僕らの飲食店は、だいたいそこから始まっている。
「人の大切な時間をつくる」
という言い方もできる。
家族で食事をする。
友人と久しぶりに会う。
誕生日を祝う。
大切な人を連れていく。
飲食店は、人の大切な時間を預かる場所だ。
でも、それは僕にとって結果であって、出発点ではない。
出発点は、もっと単純だ。
自分が食べたい。
そして、どうせうまいものを食べるなら、
気持ちのいい場所で食べたい。
汚い店より、綺麗な店がいい。
居心地の悪い椅子より、気持ちよく座れる椅子がいい。
変な照明の下で食べるより、料理がちゃんとうまそうに見える明かりがいい。
気の利かない接客より、
「あ、この人分かってるな」
と思える人にサービスしてもらいたい。
別に高級である必要はない。
豪華である必要もない。
まず、うまい。
そのうえで、
気持ちがいい。
居心地がいい。
親切だ。
値段にも納得できる。
また来たいと思える。
僕が欲しい店は、そういう店だ。
だから五つの店は、料理のジャンルこそ違うけれど、やっていることは同じだ。
料理も違う。
店の形も違う。
客単価も違う。
でも、
自分たちが本当にうまいと思えるものを、気持ちのいい店で出す。
会社として統一されていないように見えても、
僕の中では、ずっと同じだ。
うまいものが食べたい。
結局、僕らの飲食事業は、
そこから始まっている。
