#02

「人がいない」を、考え直してみた。

2025春 | THOUGHT

店を増やそうとすると、いつも最後に出てくる言葉があった。

「人がいない」。

確かにその通りだ。

でも、そもそも僕らが言っている「人」とは誰なんだろう。

——

「人がいません。」

これは正しい。

店を一軒増やせば、店長がいる。
料理をつくる人がいる。
サービスをする人がいる。
それを管理する人も必要になる。

今いる人たちに無理をさせてまで店を増やすなんて、僕もやりたくない。

だから「人がいないなら仕方がない」と、僕自身も店を増やすことは考えなくなった。

でも、ある時この「人」というものを一度、考え直してみた。

僕らが本当に必要としている人って、何なんだろう。

考えていくと、結論は意外なくらい当たり前だった。

良い人であること。

店の理念や考え方を理解してくれる。

料理やサービスで守るべきものを理解してくれる。

お客様に対して、ちゃんとあるべき営業をしてくれる。

問題が起きた時には話し合える。

もっと良くしようと、一緒に考えられる。

言葉にすると、本当に当たり前のことばかりだ。

でも、当たり前が一番難しい。

そして、もう一つ気づいた。

その人が、うちの社員である必要はあるのだろうか。

考えてみれば、そんな必要はなかった。

同じ会社の社員でも、考え方が通じなければ一緒に良い店はつくれない。

逆に会社が違っていても、同じ理念を理解し、同じ方向を向き、必要な時にタイムリーにコミュニケーションが取れるなら、一緒に店を育てることはできる。

そこで初めて思った。

「組織や所属が分かれていても、いいんじゃないか。」

一つの会社がすべての人を雇用して、すべての店を直営する。

それだけが店を広げる方法ではない。

それぞれが自分の商売を持っていてもいい。

それぞれが独立した経営者でもいい。

でも、暖簾の下では同じ方向を向いている。

「人がいない」から店を増やせないのではなかった。

僕らが、人を探す場所を社内だけに限定していた。

この気づきが、暖簾分けにつながった。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。