鰻の焼き方には、いろいろな流儀がある。
関東では、一度蒸してから焼く。
関西では、蒸さずに地焼きする。
そして鈴喜が大切にしているのが、
「焼き切り」という型だ。
蒸さない。
鰻そのものの脂を使いながら、あっという間に焼き切る。
余分な脂を落とし、皮目は香ばしく。
でも、ふわとろ。
焼き切る。でも、ふわとろ。
実はこの焼き切り、最初から型があったわけではない。
焼師のナカジと僕で、延々とやった結晶。
「皮め甘いって。箸で割けない」
「いや、これ焼きすぎ」
「だめ。弾力1ミリ残ってる」
「ふわとろってない」
毎週毎週
食べては文句
食べては文句。
試行錯誤の繰り返しの果てに編み出された
地焼きの型なんです。
流派です。
その名も 焼き切り
そんなんだから、
なんだかんだ焼きの型が定まらず、
うなぎの鈴喜は
予定より一年近く開業できませんでした(笑)
鰻屋なのに、鰻が焼けなくて開けられない。
いや、焼けるんです。
でも、僕が食べたい鰻にならなかった。
そしてようやく辿り着いたのが、
今の「焼き切り」
とはいえ、完成したとも思っていない。
いまだ発展途上です。
じゅうぶん美味いけど(笑)。
産地も、大きさも、もちろん大事。
暖簾分けで渡したいのも、店名やタレだけではない。
どこまで焼けば、鈴喜の鰻になるのか。
その基準を身体で覚えてもらいたい。
分店ごとに店の形は違っていい。
メニューにも、その土地らしさがあっていい。
でも、鰻を焼けば、ちゃんと鈴喜。
焼き切る。
で、ふわとろ。
言葉にすれば、たったそれだけ。
その「たったそれだけ」に、僕らは今も試行錯誤している。
その技術ごと、暖簾を分ける。
