#048

鰻屋って、商売としてよくできている。

2026秋 | THOUGHT

鰻屋をやってみて思う。

商売としてよくできている。

もちろん簡単ではない。
仕入れも、焼きも難しい。値段だって安くない。

でも飲食店として考えると、かなり強い。

まず、何屋なのか一瞬で分かる。

鰻屋です。

説明がいらない。

お客様も、だいたい食べるものを決めて来てくれる。何十種類もの料理を仕込み、それぞれに技術を持った人を配置する必要もない。

鰻をちゃんと焼く技術は必要だ。
でも、商品を絞り込める強さがある。

そして鰻には、食べに行く理由がある。

土用の丑の日。家族の食事。少し元気をつけたい日。ちょっとしたご褒美。

日常と、ご馳走の間くらい。

さらに、大きな店でなくても成立する。

だから鈴喜の暖簾分けも、本店をそのままコピーするつもりはない。

街中なら、小さな鰻屋。
住宅地なら、家族で来られる店。
観光地なら、その土地らしい鰻屋。

立地とオーナー店主に合わせて、形は変えればいい。

でも、

鰻をちゃんと焼く。
美味しく食べてもらう。
また食べたいと思ってもらう。

ここは変えない。

十年前にもあった。今もある。たぶん十年後も食べたい。

いつの時代にも、
「今日は鰻を食べよう」がある。

だから僕がつくりたいのは、流行る店というより、

長く商えて、ちゃんと儲かる店。

暖簾分けする分店は、そこまでちゃんと整えますからね。

ちなみに鈴喜本店は、メニューが豊富で経営効率が著しく悪い。

例のごとく、生きた実験台であるがゆえに背負った、宿命の十字架なのである。

分店の皆さんには、この十字架まで暖簾分けするつもりはありません(笑)。

ナカジ、お疲れ様。
いつもありがとう。

僕は君の焼き切り鰻が、
世界一美味いと思っています。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。