#015

料理で★5でも、接客で★2なら僕は悔しい。

2026夏 | EPISODE

料理は★5。

でも、接客は★2。

先日、うちの店にそんな口コミをいただいた。

料理を褒めてもらえたことは嬉しい。

でも僕は、この評価がものすごく悔しかった。

僕らがつくりたいのは、

料理だけがうまい店ではないからだ。

——

口コミというのは、結構勇気がいる。

特に厳しいことを書く時はそうだと思う。

何を書こうか考える。

文章にする。

読み返す。

「こんなことまで書いていいのかな」

と迷うかもしれない。

その人は、自分の時間を使ってそこまでして伝えてくれている。

僕はまず、

そこにありがとうと言いたい。

店にいる人間には、見えないことがある。

毎日同じ場所にいるからこそ、

いつの間にか当たり前になってしまっていることもある。

言葉遣い。

表情。

料理を置く時の所作。

お客様を待たせている時間。

呼ばれた時の反応。

自分たちでは、

「普通にやっている」

つもりでも、

お客様にはそう見えていないことがある。

僕は普段、店にはほとんどいない。

それでも極力、

自分の店で食事をするようにはしている。

料理はちゃんとうまいか。

店は綺麗か。

サービスは気持ちいいか。

料理が出てくる間はどうか。

スタッフはお客様を見ているか。

自分がお客様の側に座ってみないと、

分からないことがあるからだ。

でも、

それでも毎日の営業を見ているわけではない。

僕の目の届かないところを、

お客様が教えてくれる。

しかも、

お金を払って食事をしたうえで、

さらに自分の時間を使って教えてくれる。

そう考えると、

口コミというのは結構ありがたいものだと思う。

もちろん、

「それは違うんだけどな」

と思うことだってある。

店側には店側の事情もある。

混んでいた。

スタッフが足りなかった。

たまたま新人だった。

その日だけトラブルがあった。

理由はいくらでもある。

でも、

お客様には関係ない。

その日、その時間に受けたものが、

その人にとっての僕らの店だからだ。

だから僕は、

口コミに対して言い訳をしたくない。

まず読む。

考える。

事実を確認する。

そして、

直せるところがあるなら直す。

それでいい。

今回、特に悔しかったのは、

料理をちゃんと評価していただいていたことだった。

料理は★5だった。

厨房では、

ちゃんとうまいものを出せていた。

だからこそ、

あと少し何かが違えば、

その人の食事はもっと気持ちのいい時間になったはずなのだ。

それが悔しい。

僕らの店の一番太い軸は、

うまいものが食べたい。

ここだ。

でも、

うまい料理を嫌な気分で食べたい人なんていない。

僕なら嫌だ。

うまいものなら、

気持ちのいい場所で食べたい。

親切な人に迎えてもらいたい。

気の利くサービスを受けたい。

最後は気持ちよく帰りたい。

別に難しい理念があるわけではない。

自分がそういう店で食べたいからだ。

そして、

料理★5、接客★2。

これはサービススタッフだけの問題ではない。

店長だけの問題でもない。

料理人も。

サービスも。

店長も。

会社も。

僕も。

お客様から見れば、

全部ひとつの店だからだ。

悪い口コミをゼロにすることが、

いい店をつくることだとは思っていない。

商売をしていれば、

厳しい意見をいただくことはある。

大切なのは、

その時に店がどうするかだと思う。

言い訳するのか。

無視するのか。

腹を立てるのか。

それとも、

一度ちゃんと受け止めて、

自分たちの店を見るのか。

僕は最後を選びたい。

僕らが目指しているのは、

「料理はうまかった」

で終わる店ではない。

食事をして、

店を出て、

振り返った時に、

「いい店だったな」

と思ってもらえる店。

料理も。

接客も。

空間も。

人も。

全部ひっくるめて、

いい店だったと思ってもらいたい。

だから、

料理で★5でも、接客で★2なら僕は悔しい。

まだ僕らには、

良くできるところがあるということだから。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。