#06

暖簾を分ける相手とは

2025秋 | THOUGHT

資金がある。

物件がある。

経験がある。

それだけでは暖簾を渡す理由にはならない。

僕らが探しているのは加盟希望者ではなく、同じ暖簾の仲間だからだ。

——

暖簾分けを始めれば、当然「やりたい」という人を探すことになる。

資金の話、物件の話、飲食経験の話にもなる。

どれも大切だ。

でも、それだけで暖簾分けはできない。

僕らが一番大切にしたい条件を一つだけ挙げるなら、

良い人であること。

ものすごく曖昧だ。

でも、結局そこに戻ってくる。

単に優しい人という意味ではない。

僕らの店が何を大切にしているのかを理解しようとしてくれる人。

うまいものを出すことを当たり前だと思える人。

お客様に対して、ちゃんとした営業をしようとする人。

問題が起きた時に隠さず話せる人。

もっと良くするために、自分で考えられる人。

そして、

自分の店だけが良ければいい、と思わない人。

同じ暖簾を掲げる以上、信用も共有する。

だったら困った時だって共有していい。

自分が助けてもらうなら、自分も誰かを助ける。

僕は、そういう関係にしたい。

だから、

「対価を払っているんだから、本部が全部やってください」

という人とは、たぶん合わない。

いや、絶対合わない。

逆に、本部だから偉いという考え方もしたくない。

僕らにも間違いはある。

そんな時には僕らが教えてもらうこともあるはずだ。

味や品質、暖簾として守るべきことは守ってもらう。

そのうえで、一人の経営者として自分の店を育ててほしい。

だから僕らも相手を選ぶ。

そして当然、相手にも僕らを選んでもらう。

何度も話してみる。

店にも来てもらう。

できれば一緒に食事もしたいし、お酒も呑みたい。

条件では決まらないと思っている。

「この人となら、一緒にやれそうだな。」

お互いがそう思えるかどうか。

その人に出会うまで、一軒も暖簾を渡せなかったとしても構わない。

暖簾は、急いで増やすものではない。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。