#028

張るところは張る。抜くところは抜く。

2026秋 | THOUGHT

VEは、安くする作業ではない。お金を使う場所を研ぎ澄ます作業だ。

VEは、安くする作業ではない。お金を使う場所を研ぎ澄ます作業だ。

新しい事業を考える時、

当然、投資額はできるだけ抑えたい。

でも僕が一番怖いのは、

お金を使いすぎることではありません。

ビビって無理くりVEして、
結果、しょぼいものをつくって負けること。

だったら、

最初からやらない方がいい。

事業計画をつくれば、

1億円を8,000万円にできないか。

5,000万円ではどうか。

僕も、かなり細かく削ります。

でも、

削れば削るほど、いい事業になるわけではない。

宿なら、

素晴らしい景色があるのに窓を小さくする。

露天風呂が商品の核なのに、

そこで予算を削る。

飲食店なら、

厨房を削りすぎて、

料理やオペレーションに無理が出る。

それで1,000万円削れても、

肝心の商品が弱くなったら本末転倒です。

失敗しないために削ったことが、
失敗する理由になっている。

これだけは避けたい。

だから僕は、

全部を均等に削るようなVEは好きではありません。

最初に決めるのは、

この事業は、何で勝つのか。

景色で勝つなら、

景色には張る。

温泉で勝つなら、

風呂には張る。

料理で勝つなら、

厨房や食材には張る。

その代わり、

お客様が価値を感じないところは、

思い切って抜く。

張るところは張る。
抜くところは抜く。

僕にとってVEは、

安くする作業ではなく、

お金を使う場所を研ぎ澄ます作業です。

全部を70点にする必要もない。

商品の核が圧倒的に強いなら、

どうでもいいところは50点でもいい。

そして、

そこまでやっても数字が合わないなら、

もう一つの選択肢があります。

やらない。

無理に小さくして、

無理に削って、

無理に成立させる必要はない。

やる。

やらない。

その間に、

「中途半端にやる」

を置きたくありません。

もちろん、

張る前には最悪のケースも考えます。

売上が届かなかったら。

工事費が上がったら。

開業が遅れたら。

どこまでなら耐えられるのか。

リスクを考えるのは、

事業を小さくするためではない。

張るべきところで、ちゃんと張るためです。

その事業は何で勝つのか。

そこにはいくら必要なのか。

どこなら抜いても商品価値は落ちないのか。

張るところは張る。

抜くところは抜く。

それでも勝てないなら、やらない。

中途半端な投資で、

中途半端なものをつくって負ける。

それが、

一番もったいないと思っています。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。