#019

サービスをするみんなへ。

2026夏 | MESSAGE

いいサービスって何だろう。

丁寧な言葉遣い。

正しい料理説明。

きれいな所作。

もちろん全部大事だ。

でも僕は、

それより前にあるものを大切にしている。

気づくこと。

お客様が来たことに気づく。

何かを探していることに気づく。

困っていることに気づく。

帰ろうとしていることに気づく。

サービスは、

気づかなければ始まらない。

——

僕は、

「いらっしゃいませ」

だけでお客様を迎えることに、

昔から少し違和感があった。

もちろん、

いらっしゃいませと言う。

でも、

その前でも、その後でもいい。

「こんにちは。」

とか、

「こんばんは。」

があっていいと思っている。

だって、

挨拶だから。

店員がお客様に言う、

業務上の掛け声だけではない。

人と人が会った。

だから挨拶する。

僕には、

その方が自然だ。

帰る時も同じ。

「ありがとうございました。」

もちろん言う。

でも、

それだけでは僕には少し寂しい。

外が雨なら、

「足元お気をつけください。」

遠方から来てくださったなら、

「お気をつけてお帰りください。」

遅い時間なら、

「おやすみなさい。」

何度も来てくださっている方なら、

「また待ってます。」

その人と、

その時に合った言葉が、

何か一つあっていい。

これを、

「退店時にはこの四種類から選んで言ってください」

とマニュアルにした瞬間、

たぶん違うものになる。

自分でその人を見て、

自分で言葉を選んでほしい。

僕がサービスで求めているのは、

そういうことだ。

目の前の人が、

今どう感じているんだろう。

何をしてほしいんだろう。

どうしたら、

もう少し気持ちよく過ごしてもらえるだろう。

そこに興味を持てる人は、

サービスがどんどん良くなる。

僕はそう思っている。

そしてこれは、

お客様だけの話ではない。

一緒に働いている人にも同じだ。

厨房が今、

ものすごく忙しそうだ。

だったら、

今この質問をするのはやめよう。

隣のスタッフが、

四卓重なって困っている。

だったら一卓持とう。

誰かが失敗した。

責める前に、

何が起きたのかを見る。

気づく人は、

仲間にも気づく。

そういう人が何人もいる店は、

強い。

最初は、

気づいたことを店長に伝えるだけでもいい。

そのうち、

自分で判断できることが増えていく。

いつか、

誰かに言われなくても動けるようになる。

僕がみんなに期待しているのは、

ただ、

「言われたことをやる人」

になることではない。

目の前にいる人を見る。

お客様を見る。

仲間を見る。

店を見る。

そして、

気づく。

僕は、

いいサービスの始まりは、

ずっとそこにあると思っている。

シンスズキ|事業家・経営参謀
ワンスインアライフタイム株式会社のオーナーでもあり、飲食、宿泊、不動産、建築など、いくつかの事業に人生をかけて取り組んでいます。ときどき、他社の経営にも首を突っ込みます。